l 谿に遊ぶ 2006年04月18日
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我が愛妻、Para-Miyuki 843を持ち、溪に立つ。 溪魚の鼓動が妻の手から伝わり、水面が割れる。
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gamata riverⅢ(紅い岩魚)
2006-04-18 00:20
epilogue

上流へ



疲れているはずなのに、夜中に何度も目が覚める。
屋根を打つ水滴の音で、雨足の強さが再度の眠りを妨げる。
釣友の携帯が6時のアラームを奏でるまで、一瞬に時が飛んだかのようだった。

まだ、雨は降り続いていた。
煙草をくわえながら窓の外を見ると、霞がかった山並みが間近に迫ってくる。
テレビのスイッチを入れると、ローカル局の番組が映っていた。
画面の片隅には各地の天気予報が映っている。
どうやら私の晴れ男が勝ったようだ。

チェックアウトの時には雨が上がっていたが、あの雨足では下流は増水だろうと、最上流を目指すことにする。

やがて快晴に・・
DSCN1618-1_s.jpg

今日も虫のハッチがない、釣り師達は昨日の放流場所へ行ったのだろう、我々が一番乗りになり、期待が膨らむ。
増水はしているものの、数ある支流を合わせた下流に比べれば、なんとかなりそう・・・
期待は直ぐに裏切られた。
脱渓ポイント近くまで遡行をするが、その間、反応の一つ、魚の気配さえ無かった。
でも、魚は必ずいる。
目を凝らしながら、それらしいポイントにフライを打ち続けた。


紅いイワナ
脱渓ポイントを目の前にして、岩と岩の間の祠のような窪みに目が釘付けになった。
尺を優に超えるイワナが祠の中に消えていった。
岩の間は30㌢ほどの幅だが奥行きは見えない。
水の流れは手前から奥へ、そして、奥から向こう側で反転流を形成しており、手前にフライを落とすと、フライは見えなくなる。
反転流にフライを落とし、流れにまかせて滞留させなければならない。
15㌢角ほどの小さいスポットへフライを落とさなければならない。

先ほどのイワナはもう見えない。
が、何か変なものが泳いでいる。
確かに動いている。紅い帯・・・
ニジマス?
フライを滞留させるが、気にもとめない。
手前に落としてしまったフライが奥に流れて見えなくなったとき、紅い帯が奥へ動いた、が、また戻ってきた。
イワナであった。
その祠には、確認できただけで3尾のイワナがいた。
どれも、水面下で流下物を食べているのだろう、なかなかフライに興味を持ってくれない。

何度かのトライを試みては、諦めに近いものがじわりじわりと忍び寄る。
次で止めよう、いや、もう一回・・・
そして、何度目だろう、フライを暫く滞留させると、紅い帯が一瞬フライを見た、と思った。
何とかいけそうだと思い、再度、フロータントを念入りに吹き付け、スポットへねじ込む。
フライが反転流で滞留しながら、岩と水面の表面張力に挟まれて止まった、その瞬間に、紅い帯の口が開き、フライが消えた。
自分でも驚くほど、冷静に合わせると、ロッドを通して重みと躍動が伝わってきた。
祠の外は、水流の重い落ち込みが待ちかまえており、その流れの中に落ちたら、6xでも簡単に切られてしまう。
ロッドをためて、イワナの口を水面から出し、流れの抵抗を軽くしながらネットに誘導する。

傍で見ていた西洋毛鉤さんが来て驚いて言った。
「出血していると思った・・・」
スレンダーな魚体に頭からえらにかけての紅い帯、ヒレも口元も紅い。
尺上かと思っていたが、正確には29.5cm、泣き尺であった。
DSCN1623_s.jpg

画像をクリックすると全体像に切り替わります
これが全てでした。
その後は気温の上昇で更に増水した下流部ではポイントの絞り込みもできない様相、西洋毛鉤さんとお別れし、蒲田を後にした。

この日のイワナこそ、釣友と諦めずに釣り上がったからこそのイワナでした。
単独遡行では、とても、脱渓ポイントまで辛抱出来なかったと思う。
コンディションはまったく期待はずれでしたが、来年にはいつもの蒲田になると思います。
いや、この夏にでも行ってみよう。
岐阜の楽園の帰りにでも。
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